目次
- タクシードライバー
- 鈴木
- ぼくとオカン 純米吟醸
「なにごとも本気でやれ」。それがぼくのオカンの口癖だった。子どもの頃、友達と遊びたくて勉強をサボると、遊びも勉強も本気でやれと叱られた。そんなことを言われる度に、オカンの生き方を押し付けられているようで、ぼくは少し嫌だった。職人仕事も家事も子育ても、オカンは本気でやっていた。米洗いや麹造り、槽搾りの袋積みも、驚くほどに丁寧だ。酒造りの職人として、変化する時代の中で蔵の味やこだわりを失わないように、オカンは本気で戦ったのだ。いつの間にかオカンの口癖はぼくの心に息づいている。なにごとも本気でやれ。ぼくだって、負けていられない。旭鶴 次期8代目当主、処女作によせて - 川口納豆
- 最後に
タクシードライバー(喜久盛酒造)
どうしてこのネーミングにしたんだろうと気になってしまいますよね。
あるインタビュー記事には蔵元である喜久盛酒造の藤村社長がネーミングに込められた想いを語っていました。
「とにかく若い人にいいお酒を飲んで欲しい」
かつては「酔えればいい」派が大多数だったため、アルコールを添加した安価な日本酒がもてはやされ、若い人が「日本酒は二日酔いで頭痛になるものだ」と思い込み、結果的に遠のいてしまったことがありました。
その悪循環から脱するには、上質な日本酒を作り、若い人に呑んでもらうことが先決だと考えたそうです。
デザインの元になっているのはロバートデニーロ主演の同名映画です。
20代の頃はゲームデザイナーとして働いていた藤村社長。
自身が愛してやまない音楽や映画、マンガといったサブカルチャーを半ば強引に仕事に結びつけていくパワーは並大抵のものじゃありません。
ブレない信念と、本物の味への執念があるのでしょう。
業界では日本酒そのものだけで勝負するには難しい時代なのかもしれません。
そんな中でエンタメとの融合から活路を見出そうと奮闘する蔵人の方々の想いは並々ならぬ思いを感じます。
■喜久盛酒造の公式ページ
鈴木(寒梅酒造)
日本酒「鈴木」は、クラウドファンディング「Makuake」で数量限定販売し、販売から3日で完売した日本酒です。
なんと「Makuake」プロジェクト支援者の約6割の姓が”鈴木さん”だったそうです。
「日本酒に新しい価値を与えたい」
そんな日本酒「鈴木」は銘柄通り、造り手は寒梅酒造の鈴木 隆広さん、ラベルは有名書道家の鈴木 猛利さんが手がけた、まさに、鈴木さんの鈴木さんによる鈴木さんのための日本酒です。
新しい発想、柔らかい発想で新たな価値を付与できたり、業界を盛り上げていく起爆剤になっているように感じました。
単純にネーミングとしても面白いし、その意味を探るほどに魅力に引き込まれていくように思います。
■寒梅酒造の公式ページ
ぼくとオカン 純米吟醸
「なにごとも本気でやれ」。それがぼくのオカンの口癖だった。子どもの頃、友達と遊びたくて勉強をサボると、遊びも勉強も本気でやれと叱られた。そんなことを言われる度に、オカンの生き方を押し付けられているようで、ぼくは少し嫌だった。職人仕事も家事も子育ても、オカンは本気でやっていた。米洗いや麹造り、槽搾りの袋積みも、驚くほどに丁寧だ。酒造りの職人として、変化する時代の中で蔵の味やこだわりを失わないように、オカンは本気で戦ったのだ。いつの間にかオカンの口癖はぼくの心に息づいている。なにごとも本気でやれ。ぼくだって、負けていられない。旭鶴 次期8代目当主、処女作によせて(株式会社 旭鶴)
ここまでが銘柄名なんです。その文字数、合計で293文字。作文を超えてギャグかよって突っ込みたくなるようなラベルですよね。
合計293文字(スペース込み)の「ぼくとオカン」は、女性蔵元杜氏(とうじ)であり母でもある田中素子さんの酒造りを引き継ぎ、息子の田中淳平さんが初めて杜氏として母への思いを胸に醸した「母に贈る酒」とのこと。
お母さんへの想いが溢れ出ており、ちょっとこちらとしても受け止めきれません。
だけれどもこの熱い想い、情熱はビシバシと伝わってきますよね。
日本酒のラベルに想いを直接綴って消費者に伝えていくこのスタイル、普通は2文字か3文字程度の書体でどデカく描かれているラベルが多い中で、目を引きますよね。その活字を読みながらの一杯も一興ですね。
■旭鶴の公式ページ
川口納豆(金の井酒造)
こちら、ご当地納豆のネーミングではありません。
日本酒の名前なのですが、ちょっと日本酒を知っている人からするとゾッとするワードかもしれません。
なぜか!
実は納豆に含まれる納豆菌は日本酒を作る上では絶対に蔵に入れてはいけない菌なんです。
繁殖してしまうとせっかく醸したお酒は全てダメになってしまいます。
しかしながら、近年の工場で作られている納豆の納豆菌にはそこまで繁殖力がないから大丈夫という話もあるようです。
昔の納豆菌は繁殖力が強かったことによる恐ろしさ故なのか、いまだに酒蔵さんでは嫌厭されているようです。
そんな日本酒と絶対に掛け合わせてはいけない納豆をなぜラベルにしたのでしょう。
その秘密は原料の酒米にあります。
川口納豆という会社は納豆をはじめ有機野菜の生産にも取り組んでいる会社でその中で酒米の美山錦を生産しており、
日本酒生産にそのお米を使っているということで川口納豆がそのままラベルのネーミングに繋がっていったそうです。
酒蔵さんと川口納豆さんが話し合って決めたのかどうかはわかりませんが、日本酒×納豆というインパクトと
納豆の会社ではあるけれども、原料生産に取り組む会社をネーミングとして採用したことに、原料を重じているという気持ちが伝わってくるので非常に好感が持てます。
やはり原料があっての日本酒、ということをちゃんと理解してもらうことは必要であると思います。
そうすると原料であるお米にも価値が生まれ、業界を超えた盛り上がりも生まれてくると思うのです。
■金の井酒造の公式ページ
最後に
いかがでしたか?
日本酒のネーミングに込められた想いを調べて見ると面白い発見が多くあると思います。
それは全ての銘柄に言えることと思っていますが、しかしながら余程興味がないと調べるという過程に及ばない場合が多いと思います。
そんな中で生まれてくるユニークなネーミングセンスが光る日本酒の数々。
思わず興味を持ってしまうそのデザインやネーミング。
強い個性が差別化する上で重要になっている日本酒業界の中で、光り輝く若者の新しい発想は日本酒の未来を明るく照らしているのかもしれませんね。
ぜひ皆さんもお手に取って味わってみてください。
そして様々な楽しみ方で日本酒を味わってみてください。
今現在、日本酒の銘柄は全国で1万種類以上あると言われています。
でもそんな中でも自分にあっている日本酒ってなんなんだろうとか、贈り物として日本酒を送りたいけれどどうしたらいいのだろうと迷ってしまう経験はありませんか?
精米歩合50%とか、山廃仕込みとか、火入れなしとか。正直専門用語が多すぎてよくわからない!難しい!
日本酒を深く知っていくには必須な知識かもしれませんが、日本酒に対しての苦手意識や難しいお酒というイメージがついて回るのは知識などのハードルの高さにも原因があるのかもしれません。
しかし、近年ではそういう知識は関係なしに日本酒の顔となるラベルやネーミングのユニークな日本酒が話題になっています。
今回は特にインパクトのあるネーミングに注目したユニークな日本酒を紹介していきたいと思います。
実際の商品は検索していただくと一発で出てきますので調べてみてくださいね。